「ご理解いただけたようで安心しました。キツイ言い方をしたのは謝ります。でも、こういう事は曖昧にするとよくないと思うので。それでは、これで失礼します」

水谷はそう言うと、私が何か話すのを待たずして一方的に通話を終了させた。
なんとも後味の悪い終幕を迎えた事に、私は悲しいのを通り越し笑うしかなかった。

いきなり笑い出した私に、沙由美が勘違いして尋ねる。

「智子…。水谷さんと…会える事に、なったの…?」

沙由美の言葉に思わず涙が溢れた。

笑ったかと思ったら次は泣き始める私に、さすがの沙由美もどうしていいのかわからず戸惑っている様子だ。

「ちょっと…智子、どうしちゃったの…? なんで泣いてるの…?
水谷さん、なんて言ったのよ…?」

必死に聞いてくる沙由美に、私は自分を抑える事ができなくなった。
沙由美の胸にすがりまるで子供のように泣きじゃくる…。

沙由美はそんな私に何も聞かないまま、ただ優しく背中をさすり続けてくれた。

初めて自分から求めた水谷は、なんとも冷たい男性だった。
私は自分の見る目のなさを呪いながら、いつまでも沙由美の胸で泣き続けた。