「だから…それは…。勢いで言っちゃったけど、お礼って何していいかわかんないんだもん…」

私の言葉に沙由美はさらに呆れた様子で言った。

「まぁったく、アンタは…。いまどき、高校生でもそこまでウブな子いないんじゃない?何していいかわかんないんだったら、とりあえず食事とか、誘ってみたら?」

サラッと言う沙由美に、私は顔の前で手をブンブンと振って言う。

「無理無理無理!絶対に無理!」

「そっか。じゃあきらめな」

男みたいな性格の沙由美はいつもこんな感じ。
私はバッサリと切り捨てられてしまった。

沙由美に見捨てられてしまったら、私はどうしていいかわからない。

落ち込みそうになって弱音を吐く。

「それが…あきらめられるんなら、苦労しないんだってば…」

そんな私に沙由美が尋ねてきた。

「なんかない?その…突破口みたいなもの。お礼をするって、一応予告はしてるわけだからさ。言いやすいと思うんだけどね~」

突破口か…。
そんなものがあれば楽に進めるのだろうが、私にはさっぱり思い当たらない。

黙り込む私に沙由美が思いついたように言った。