そしてゆっくりと目を開き、でも顔は前を向けたまま言った。

「あなたの仰る通りです…。俺は彼女に出会って、今までの愚かな自分に嫌気がさし、あなたにも、本当の自分を見せようと思ったんです…。
そしてできる事なら最初からやり直したいと…そう、思ったんです…」

フッと笑う水谷の顔は、どこか淋しげだった。

水谷からやり直したかったという気持ちを聞いても、私の中の違和感はどうしても拭えなくて。
それを確かめるためにも私は更に深く水谷の心に揺さぶりをかける。

「やり直したいと…思ったのは、私と…、ですか？ほんとはその時すでに…その方に心を奪われていたんじゃないんですか…？」

「…………」

黙ってしまった水谷に、一瞬だけ後悔の念がよぎる。