そもそも水谷はそういう経緯があって、女性不信になっていたのか。

私は今さらながら納得した思いになった。

「そう…だったんですか…。私…まさか水谷さんが、そんな風に私を見ていたとは…知りませんでした…」

「だけど、それはあくまでも自分の母親と比べてそうだっただけです…。
女性としてのあなたを…ないがしろにしていたのは間違いない…」

それは…
あなたが私を愛していないから…

仕方がない事…。

「私が仕事をして経済的にも自立していたのには、訳がありました。
仕事に没頭している間は、何も考えないでいられたんです。
その時は…あなたに愛されない虚しさを忘れる事ができた…。
それに…いつかはこんな偽りの結婚生活が終わりを告げる事を…、頭の片隅で感じていたのかもしれません…。だから仕事だけは、何があっても続けてきたんです…」