「そして高校を卒業したあと、俺は親戚の家を黙って出ました。
俺をかわいがってくれていた先輩が、県外に出て来いって誘ってくれて。
その先輩を頼って、俺はもう二度とこの土地には戻らないと決めたんです…」

「とても…辛い思いをされたんですね…」

「そう…ですね…。親戚の家にいる時は、ほんとに辛かった…。
親父は自動車の整備士をしていて、俺も小さいころからそんな親父に憧れていましたから、自分もいつかは整備士になりたいと思ってました。
でも、親戚にそんな事頼めるはずもなくて…。
頼った先輩から、どっちにしろ大学には行った方がいい、お前は頭はいいんだから、金さえあればって言われて…。
それでホストのバイトをしながら、大学に行ってました…」

「…ホスト…?」

私は驚いて水谷を見た。