再び水谷は視線を外して考えている。
やはりこれぐらいでは思い出せないのか…
と悲しくなるが、今更そんな事を言っても仕方ない。
これぐらいは想定内。
「あの日…患者さんからイチャモンをつけられて困っていた私を、助けてくれたのが…水谷さんです…」
水谷はうつむいて必死に思い出そうとしている。
「私に怒鳴りつける男性に、注意してくれたんです。そしたらそのオジサンが逆ギレして…水谷さんを殴ろうと飛びかかり、ロビーは騒然となりました」
プロローグを語っても、まだ思い出せそうにない水谷に続きを話す。
「でも、水谷さんは殴られず、うまく身をよけました。そしてロビーではなく、外へ出て、再びにらみ合いが始まりました」
私はまるで読み語りをするかのように話を続けた。
「たくさんの野次馬が見守る中、見事、水谷さんはそのオジサンを一発でのしてしまいます…。しかも最低限の動きで…。全く力を入れているようには見えませんでした」
そこで水谷が少しだけ口を開く。
「合気道を少し、やっていましたから…」
あの動きは少しなんてレベルじゃない。
素人目から見たってわかる。
やはりこれぐらいでは思い出せないのか…
と悲しくなるが、今更そんな事を言っても仕方ない。
これぐらいは想定内。
「あの日…患者さんからイチャモンをつけられて困っていた私を、助けてくれたのが…水谷さんです…」
水谷はうつむいて必死に思い出そうとしている。
「私に怒鳴りつける男性に、注意してくれたんです。そしたらそのオジサンが逆ギレして…水谷さんを殴ろうと飛びかかり、ロビーは騒然となりました」
プロローグを語っても、まだ思い出せそうにない水谷に続きを話す。
「でも、水谷さんは殴られず、うまく身をよけました。そしてロビーではなく、外へ出て、再びにらみ合いが始まりました」
私はまるで読み語りをするかのように話を続けた。
「たくさんの野次馬が見守る中、見事、水谷さんはそのオジサンを一発でのしてしまいます…。しかも最低限の動きで…。全く力を入れているようには見えませんでした」
そこで水谷が少しだけ口を開く。
「合気道を少し、やっていましたから…」
あの動きは少しなんてレベルじゃない。
素人目から見たってわかる。