沙由美と聡介に背中を押してもらい、私はようやく決心がついた。

思えば本当に長い時間、自分を偽り続けて生きていたのだ。
二人に励まされてやっと、私は水谷に思いの全てを話す。

今度こそ心の中を全てさらけ出す。

今まで怖くてどうしてもできなかった事。
だけどもう今は、私は何も失うものはない。

これからの私の人生が光あるものであり、新たに歩みだすために。

私は最初で最後の腹を割った話を、水谷としなければいけないのだ。

久しぶりに表示した水谷の番号…。
懐かしさに思わず目を細めてしまう。

緊張しないと言えば嘘になる。

でも、それでも…
気持ちを強く持って、発信した。

「はい…。もしもし…」

聞こえてきた懐かしい水谷の声…。
声だけで、私の心臓は性懲りもなく早鐘を打ってしまう。

「あ、あの…私です…。智子…です…」