「いい年して午前様なんて、ちょっとは考えろよ…」

確かに聡介の言う事は間違ってはいない。

私はちっちゃくなりながら「はぃぃ…」と返事をした。

だが聡介も暗がりのリビングで一体何をしていたのだろう。
不思議に思い尋ねた。

「でも、聡介こそ、こんな夜中に真っ暗な部屋で何してたの?」

私の問いに答えるのかと思いきや、聡介は全く違う事を聞いてきた。

「今夜は石田さんと一緒だったんだろ…」

「え?あ、ああそう。沙由美といつもの居酒屋で女子会」

「…女子って年じゃねぇし…」

聡介はどうでもいい事をボソッと言った後、さらに私に尋ねる。

「で、石田さん、なんだって」

私は聡介が今日の沙由美との話を詳しく聞きたがるのが、どうにも解せなかった。

「ちょっと…なんで聡介がそんな事聞くのよ。アンタには関係…」

そこまで私が言いかけると、聡介が割って入る。

「あるよ。大アリ。きっと石田さんは俺と同じ事思ってっから」

「どうしてアンタにそんな事がわかるの?沙由美とそんなに話した事ないじゃない」

「母さんの話聞いてりゃ、どんな人か大体わかんだよ。俺が思うにあの人はマトモ。あの人の言う通りしてたら間違いねぇと思うぜ」

聡介に言われて、今夜の沙由美との話を再び思い出していた。