「はぁ…」

事務室の席でため息をつく。

「智子。今日は飲みに行くか?」

隣で沙由美が私を元気づけようとそう言ってくれた。
私もこのところの出来事を沙由美に聞いて欲しかったので、二つ返事で了解した。

久しぶりに訪れたいつもの居酒屋。

ビールで乾杯したあと、ここ最近の話を沙由美にすると、ビックリするやら泣くやらで随分と彼女を困惑させてしまった。

それくらい、色々ありすぎたのだと思う。

ひととおり話を聞き終えた沙由美が、焼き鳥をほおばりながら言った。

「ねぇ智子…。アンタさ、水谷さんにほんとの事、やっぱ言う気ないの?」

突然切り出した沙由美に私はうろたえる。

「なんで?」

「…うん…。ずっと考えてたんだけどね…。あたし、言った方がいいと思うんだよね。だってさ、いまだにアンタ、水谷さんの事引きずってるように見えるのよ。小西との事も、水谷さんに対する腹いせだったんでしょ?それに、小西と不倫してて、ほんとに楽しかった?自分らしくいられた?本当の気持ちをずっと隠したままで、智子は智子らしい人生送れるって思えるの?」