それからほどなくして私は小西と別れた。

母親として絶対に今回の事を許す事はできない。
もしかしたら別れるにあたって小西ともめる事も想定し、弁護士にも相談していた。

しかし、意外にもあっさりと小西は私との離婚を承諾したのだ。

拍子抜けしている私に、恭平が笑いながら言った。

「アイツ、相当親父にやられたからな。ここでゴネて、またやられるのが怖かったんじゃねぇか?」

「やられたって…?」

「俺たちの縄をほどいてからすぐ親父が出ていったんで、見てた訳じゃねぇんだけど…。部屋の外でドスンバタンってでけぇ音がして、アイツのうめき声が聞こえてさ。その後すぐにまた親父が戻ってきて。今度俺たちが廊下に出たら、アイツが親父の顔見た途端、悲鳴あげて逃げてったんだよ。それ見たら、親父がアイツをコテンパンにやっつけたってすぐわかるだろ?」

恭平と話していると、聡介も笑いながら話に入ってくる。

「兄貴の言う通り、親父多分、相当やってると思うぜ。”ヒィー!”って悲鳴あげて逃げるトコ、超受けたし。母さんにも見せたかったよ」

「そうだったの…」

私がため息まじりに言うと、二人は私が小西に同情していると勘違いしたのか、

「何だよ!悪いのはアイツなんだから、やられて当然だろ?まさかかわいそうとか思ってねぇよな!?」

と恭平が私に言ってきた。

私は恭平の誤解を解くために、自分の気持ちを正直に言った。