私が近づくと、さりげなく水谷は二人から少し離れた。

私に気を遣ってくれての行動かもしれない。
涙で言葉が出てこない私は、二人にただひたすら謝る事しかできなかった…。

そして恭平と聡介も、私の涙につられるようにしゃくりあげて泣き始めた。

大人のように見えてもまだ大学生と高校生。
さぞ恐ろしかっただろうと思うと、私は二人に申し訳ない思いでいっぱいになった。

そして自らの危険を顧みず二人を助けてくれた水谷に、心から感謝をこめてお礼を言った。

本当に彼がいなかったら今頃どうなっていたか…
想像するだけで恐ろしい。

「本当に…ありがとう…ございました…。二人を助けて頂いて…」

頭を下げる私に水谷は言った。

「当たり前の事をしただけです…。どうか…頭を上げて下さい…」

そして恭平と聡介に私の事を支えてあげるように言い、さらに恭平には、彼の恋人が心配して一緒に来ていることを告げた。

驚いて私の方を振り向いた恭平に、

「大丈夫…。行ってあげなさい…」

と言うと、嬉しそうに水谷の車の方へ向かい走り出す。

遠目でその姿を見守っていると、水谷の車から出てきた女の子が恭平にしがみついて泣いていた。
彼女を愛しそうに抱きしめる恭平は、本当に優しい顔をしている。

どうか、彼女を大切にしてあげて欲しい。
彼女には、私が経験したような辛い思いはしてほしくないと心から願った。