水谷は続けた。

「どうも、以前そのお友達と恭平がその辺りのマンションを探して行ったことがあるようなんです。様子を見に行っただけのようですが…」

水谷は、小西のマンションに二人がいると疑ってるわけか…。
私はあまりにも情報が少なすぎてにわかには信じられないと思ったが、どんな小さい可能性も無視できない。
今はとにかくひとつひとつ可能性をあたってつぶしていくしかないのだ。

「わかりました…。主人に連絡してみます。あな…、水谷さんはそこで待機していてもらえますか?」

危うく「あなた」と言いそうになり、慌てて言い直した。

「はい…。では…ご連絡お待ちしています…」

水谷との電話を終えた私はすぐに小西に電話をかけた。
なかなか出ない小西に苛立ちが募る。

ようやく出た小西は声がしわがれていて、まるで別人のようだった。
まわりくどい事をしても仕方ないと思った私は直球勝負で尋ねた。

「あなた、今マンションにいるんでしょ?そこに恭平と聡介も一緒にいるのよね?」

間髪入れずに話す私に、小西がわかりやすくどもった。

「な、なんの事だ…?なんで、そ、その、二人がいると思うんだ?そんなわけないだろ…?」

「別にいてもおかしくないわ。私たち籍も入れたし、もうそろそろ引っ越す所だったんだもの。どうしてって聞く方がおかしいと思うけど」

私は必死だった。
冷静を装うあまり、背中に冷や汗が流れる…。

「とにかく今忙しいから切るぞ。今日はもう電話しても出ないから」

小西は私に言い放ち、電話をプツンと切った。

私は小西のマンションに、子供たちがいると確信した。