聡介の担任の先生は、少しも疑う事なく話をしてくれた。

結論的には、聡介は毎日普通に学校に来ていて特に変わった様子はない、との事だった。
私は最近仕事が忙しくて職場に泊まり込んでいると嘘を言った。

先生は「お母さんも大変ですね～」などど呑気な事を言って笑っていたが、私にとっては笑いごとではなかった。
やはり私の想像通りかもしれない。
間違いなく二人は水谷の所だ。

もはやこれは確信に近かった。
だが怒りもありながら、心のどこかで安心している自分がいる。

父親と一緒なのだから、心配する必要はないだろうと。

でもなぜ、恭平と聡介は水谷の所にいるのだろうか…。
しかも私に黙って…。

私や私の両親が、いきなりなんの連絡もなく帰らなければ心配するのは当たり前なのに、それをわかっていてこんな事をした子供たちに腹立たしさが募る。
何故あの子たちがそんな事をしたのか…、せざるを得なかった事情を、私は母親としてもっと考えなくてはいけなかったのに…。