深夜。
ユキノジョウ達は、今
神戸港で、フェリー乗り入れの
順番待ちをしている。
キップ売り場の建物を 階段で
どんどんあがる。
何階ぐらいだろう?
待ってるうちに、
怪獣みたいにデカイ船が
入ってきた。
「小豆島わね、1日に運航して
いるフェリーの本数が、
日本で1番多いぐらいなのね。
特に今は、芸術祭をしている
から、臨時便もある。」
夜の空に、
沢山の明かりをつけた、
バカデカイ船 が 窓からみえる、
建物の最上階。
待ち時間にユリヤの母親である
副女さんは、ユキノジョウ達に
話てくれている。
「四国から なら、高松港、
本土から なら、岡山港に日生港、
宇野港。それに 兵庫側から、
姫路港、神戸港。芸術祭期間中の
今は 直島、犬島、豊島、
他の島から小豆島に
乗り入れ 出来るわけ。」
そういいながら 副女さんは、
メモに島の絵を書いて、
島をぐるりと囲むみたいに、
5つほどの丸をつけた。
さっき言っていた港からの
怪獣船が
この丸の港につくみたいだ。
「小豆島って、そんなに
船が出てるの。意外っ。」
ユキノジョウの母親は、
荷物カバンを椅子にして、
副女さんにの メモを のぞいてる。
「だから、神戸から 小豆島
なんて、日帰り旅行 出来る島
なんだけど。祭があったから、
深夜の便にしたわけ。」
今度は 別のメモに副女さんが、
船の中を書いている。
ユキノジョウ達の後ろにも、
ずーっと人が並んでいる。
「これだけ、船が出てるって
ことは、人の往来が多いってこと。
だから、船でゆっくり
寝たいなら、子ども達には、
乗船したら、ダッシュして
もらわないと駄目。わかる?」
ユキノジョウが、
メモを見ると、
船の乗り口のすぐ左に階段が
あるのが見える。
どうやら それを上ると、
レディース座席ルームがあり、
その左右に、床部屋があって、
その部屋に場所をとる。
それが、
ユキノジョウ達の任務だと
言われた。
「でも、ここって、
女子の部屋だろ?!」
唯一の男子、ユキノジョウは
副女さんに グチる。
「あとから、男子部屋に行けば
いいよ。行きたいなら。でも、
スタートは、ダッシュで場所とりに、四の五のいわずに、GO!!」
と、副女さんに、問答無用で、
指さしされた。ヒドイ。
窓から外を 見ると、
たくさんの車も、
船に向かって並んでいる。
中のいる
自分達の後ろには、
中学生ぐらいの 子ども達。
なんだか 足首まわしてる?
ユキノジョウは、
エライ事になったと 思っていた。
ちろりと、ユリヤを見るけど、
ユリヤはどうだろう。
走れるかな?
「副女さん、ごめんねー。急に
便乗して。泊まるとことか、
ほんと大丈夫だった?」
椅子にしてた、カバンを持ち上げて
ユキノジョウの母親は、
副女さんに 話す。
ユキノジョウから言えば、
そんな母親の 『あやまり』は
今さらだ。
なのに、
「問題はないよ。ホテルじゃなくて、素泊まりの部屋で、大きい
とこだから。その代わり、
会計女さん達こそ 良かったの?
旅行っていっても、うちは
ボランティアに行くんだけど。」
副女さんは、さらりと、
さっきの メモを ユキノジョウに
渡して 何でもないように
言うけど、ユキノジョウは、
ボランティア?って思った。
「ボランティア?
募金とかするの?」
ユキノジョウは、
たまに 駅で立っている
赤い羽根募金を 思い出して、
副女さんに聞いた。
「今回は、アートイベントの
ボランティア。瀬戸内海の島で
今年は芸術祭をしているから、
そのお手伝いだよ。うちが、
登録してるのに、ユキノジョウ
くん達も参加してもらうよ。」
ボランティアの内容が、
意外すぎてピンとこない。
ユキノジョウが、
ユリヤを見ると、どこかキョトンとしているから、
どうやら、ユリヤも初めてらしい。
「もう!副女さん!只でさえ 毎日
ボランティアしてるのに、夏休みも
ボランティア?あきれるわ。」
そんなふうに言う 母親に、
ユキノジョウも とりあえず
同感だ。
ユリヤんとこと、せっかくの旅行
だから 遊んだり、泳いだり、
したいと思う。
でも、副女さんは、
ボランティア旅行は、
全然ふつうだという 顔を
するのだ。
「ただ旅行するより、その場所が
解るし、出会いもある。きっと、
ボランティア旅行も 楽しいよ。」
そういって、
ユキノジョウを副女さんが見た。
出会い!! なんだよ。
これは、へんなヤツと
出会いがないようにしないと!!
ユキノジョウは、副女さんを
ちょっと にらんだ。
と、館内アナウンスが 聞こえる。
『神戸、小豆島間 フェリー乗船を
開始します。お客様は、乗船タラップに集合し、お並びください。♪』
もともと 出発時間より
だいぶん早めに 着いて待っていた
から、ユキノジョウ達は
列の 3家族目に 並べた。
まあ、さっきの話をきいたら、
これが 副女さんの作戦だった
みたいだけど。
「ユキ君。」
ユリヤが、アコと一緒に、
ユキノジョウに 不安そうな
顔を向けてきた。
「大丈夫だって。いざと
なったら、アコが先頭な?」
ユキノジョウの言葉に、
アコがうなずく。
前の家族の小学生達は、男子。
きっと、目指す部屋は
少しちがうはず。
場所とりは 出来る。
見ると もう、タラップに続く、
建物のドアが 開かれ、
キップを みる船員さんが
立っている。
いよいよだ。
「ドアをでて、タラップ。
それから船のドアが開けられて
るから、そこから階段を
ダッシュ!わかった!」
副女さんの声が、
後ろから聞こえた。
あれ、キキセマルってやつ?
前の家族が キップを見せて、
船のドアをーー入った!!
アコとユキノジョウが
キップを
かざして ドアのラインを
スタートだ!!
船に入って、走ってすぐ階段と!
アコが飛び出して、
ユキノジョウも追う。
くっ!横に 後ろから きた
中学生。もう、抜きにきたか!
あ、でも 後ろの ユリヤで、
中学生が抜けきれない。よし!
けど、階段でユリヤが
後ろのヤツに、
巻き込まれそうになった。
ヤバい!!
瞬間、ユキノジョウは、
後ろに手を伸ばしてー
ユリヤの 手を取り、
前に引き込む!
ユキノジョウの前に
ユリヤが 回りこんだ ところで、
ユリヤの肩を抱いて、 階段を
かかえるみたいに、 登るぞ!
後ろから
無数の子ども達の手を感じる。
チミモウリョウ?!感すご!
ユキノジョウは、
ダダッと、階段を 上りきり、
今度は
ユリヤの腰を 抱いて、
二人三脚 するみたいに、
目指す 部屋に
もうダッシュを かける。
と、先には アコの背中が 見えて。
やっぱ、アイツは すばしっこい。
ん、、
ユリヤの手が 自分の腰にあって、
自分の 手が ユリヤの腰に
回ってる!!と 思うと、
とたん、 ユキノジョウは
回りの音が 消えた!気がした。
なんだ、スローモーションだ。
なのに、自分の心臓が バクバク
してるのだけ が 感じて、
みょうに、腰の手に
ドクドク 感覚がして、
やたら ユキノジョウには
自分の顔が あついのが わかった。
あわ、これ。
ユキノジョウ達は、今
神戸港で、フェリー乗り入れの
順番待ちをしている。
キップ売り場の建物を 階段で
どんどんあがる。
何階ぐらいだろう?
待ってるうちに、
怪獣みたいにデカイ船が
入ってきた。
「小豆島わね、1日に運航して
いるフェリーの本数が、
日本で1番多いぐらいなのね。
特に今は、芸術祭をしている
から、臨時便もある。」
夜の空に、
沢山の明かりをつけた、
バカデカイ船 が 窓からみえる、
建物の最上階。
待ち時間にユリヤの母親である
副女さんは、ユキノジョウ達に
話てくれている。
「四国から なら、高松港、
本土から なら、岡山港に日生港、
宇野港。それに 兵庫側から、
姫路港、神戸港。芸術祭期間中の
今は 直島、犬島、豊島、
他の島から小豆島に
乗り入れ 出来るわけ。」
そういいながら 副女さんは、
メモに島の絵を書いて、
島をぐるりと囲むみたいに、
5つほどの丸をつけた。
さっき言っていた港からの
怪獣船が
この丸の港につくみたいだ。
「小豆島って、そんなに
船が出てるの。意外っ。」
ユキノジョウの母親は、
荷物カバンを椅子にして、
副女さんにの メモを のぞいてる。
「だから、神戸から 小豆島
なんて、日帰り旅行 出来る島
なんだけど。祭があったから、
深夜の便にしたわけ。」
今度は 別のメモに副女さんが、
船の中を書いている。
ユキノジョウ達の後ろにも、
ずーっと人が並んでいる。
「これだけ、船が出てるって
ことは、人の往来が多いってこと。
だから、船でゆっくり
寝たいなら、子ども達には、
乗船したら、ダッシュして
もらわないと駄目。わかる?」
ユキノジョウが、
メモを見ると、
船の乗り口のすぐ左に階段が
あるのが見える。
どうやら それを上ると、
レディース座席ルームがあり、
その左右に、床部屋があって、
その部屋に場所をとる。
それが、
ユキノジョウ達の任務だと
言われた。
「でも、ここって、
女子の部屋だろ?!」
唯一の男子、ユキノジョウは
副女さんに グチる。
「あとから、男子部屋に行けば
いいよ。行きたいなら。でも、
スタートは、ダッシュで場所とりに、四の五のいわずに、GO!!」
と、副女さんに、問答無用で、
指さしされた。ヒドイ。
窓から外を 見ると、
たくさんの車も、
船に向かって並んでいる。
中のいる
自分達の後ろには、
中学生ぐらいの 子ども達。
なんだか 足首まわしてる?
ユキノジョウは、
エライ事になったと 思っていた。
ちろりと、ユリヤを見るけど、
ユリヤはどうだろう。
走れるかな?
「副女さん、ごめんねー。急に
便乗して。泊まるとことか、
ほんと大丈夫だった?」
椅子にしてた、カバンを持ち上げて
ユキノジョウの母親は、
副女さんに 話す。
ユキノジョウから言えば、
そんな母親の 『あやまり』は
今さらだ。
なのに、
「問題はないよ。ホテルじゃなくて、素泊まりの部屋で、大きい
とこだから。その代わり、
会計女さん達こそ 良かったの?
旅行っていっても、うちは
ボランティアに行くんだけど。」
副女さんは、さらりと、
さっきの メモを ユキノジョウに
渡して 何でもないように
言うけど、ユキノジョウは、
ボランティア?って思った。
「ボランティア?
募金とかするの?」
ユキノジョウは、
たまに 駅で立っている
赤い羽根募金を 思い出して、
副女さんに聞いた。
「今回は、アートイベントの
ボランティア。瀬戸内海の島で
今年は芸術祭をしているから、
そのお手伝いだよ。うちが、
登録してるのに、ユキノジョウ
くん達も参加してもらうよ。」
ボランティアの内容が、
意外すぎてピンとこない。
ユキノジョウが、
ユリヤを見ると、どこかキョトンとしているから、
どうやら、ユリヤも初めてらしい。
「もう!副女さん!只でさえ 毎日
ボランティアしてるのに、夏休みも
ボランティア?あきれるわ。」
そんなふうに言う 母親に、
ユキノジョウも とりあえず
同感だ。
ユリヤんとこと、せっかくの旅行
だから 遊んだり、泳いだり、
したいと思う。
でも、副女さんは、
ボランティア旅行は、
全然ふつうだという 顔を
するのだ。
「ただ旅行するより、その場所が
解るし、出会いもある。きっと、
ボランティア旅行も 楽しいよ。」
そういって、
ユキノジョウを副女さんが見た。
出会い!! なんだよ。
これは、へんなヤツと
出会いがないようにしないと!!
ユキノジョウは、副女さんを
ちょっと にらんだ。
と、館内アナウンスが 聞こえる。
『神戸、小豆島間 フェリー乗船を
開始します。お客様は、乗船タラップに集合し、お並びください。♪』
もともと 出発時間より
だいぶん早めに 着いて待っていた
から、ユキノジョウ達は
列の 3家族目に 並べた。
まあ、さっきの話をきいたら、
これが 副女さんの作戦だった
みたいだけど。
「ユキ君。」
ユリヤが、アコと一緒に、
ユキノジョウに 不安そうな
顔を向けてきた。
「大丈夫だって。いざと
なったら、アコが先頭な?」
ユキノジョウの言葉に、
アコがうなずく。
前の家族の小学生達は、男子。
きっと、目指す部屋は
少しちがうはず。
場所とりは 出来る。
見ると もう、タラップに続く、
建物のドアが 開かれ、
キップを みる船員さんが
立っている。
いよいよだ。
「ドアをでて、タラップ。
それから船のドアが開けられて
るから、そこから階段を
ダッシュ!わかった!」
副女さんの声が、
後ろから聞こえた。
あれ、キキセマルってやつ?
前の家族が キップを見せて、
船のドアをーー入った!!
アコとユキノジョウが
キップを
かざして ドアのラインを
スタートだ!!
船に入って、走ってすぐ階段と!
アコが飛び出して、
ユキノジョウも追う。
くっ!横に 後ろから きた
中学生。もう、抜きにきたか!
あ、でも 後ろの ユリヤで、
中学生が抜けきれない。よし!
けど、階段でユリヤが
後ろのヤツに、
巻き込まれそうになった。
ヤバい!!
瞬間、ユキノジョウは、
後ろに手を伸ばしてー
ユリヤの 手を取り、
前に引き込む!
ユキノジョウの前に
ユリヤが 回りこんだ ところで、
ユリヤの肩を抱いて、 階段を
かかえるみたいに、 登るぞ!
後ろから
無数の子ども達の手を感じる。
チミモウリョウ?!感すご!
ユキノジョウは、
ダダッと、階段を 上りきり、
今度は
ユリヤの腰を 抱いて、
二人三脚 するみたいに、
目指す 部屋に
もうダッシュを かける。
と、先には アコの背中が 見えて。
やっぱ、アイツは すばしっこい。
ん、、
ユリヤの手が 自分の腰にあって、
自分の 手が ユリヤの腰に
回ってる!!と 思うと、
とたん、 ユキノジョウは
回りの音が 消えた!気がした。
なんだ、スローモーションだ。
なのに、自分の心臓が バクバク
してるのだけ が 感じて、
みょうに、腰の手に
ドクドク 感覚がして、
やたら ユキノジョウには
自分の顔が あついのが わかった。
あわ、これ。