「 ユキノジョウー!ハジメさん
っと 昨日は部屋、一緒だったん
でしょー?
どうだったー?
なんか、会ってすぐの
男の人と泊まるっていうの、
お母さん 意外だったよー?」


ユキノジョウ達 4人は
島で見る
最後の アートの 鑑賞を
終えて、
ユキノジョウの母親が
運転する レンタルした 軽自動車に
乗って、島を走っていた。

港で レンタルを している、
電気自動車は
2人乗りだけだったので、
ガソリンスタンドで、
借りたのだった。

「 なんか、モンスター大人じゃ
ないかって 思ってた。
けど、 ちゃんと 話
聞いてくれる へんな人。
まあ、いいヤツだよ。」

軽自動車は、思いの外
コンパクトで、 仕事で忙しい
母親を いつもより
近く感じる。

そもそも、母親は ここ1週間
不在で、父親の家に いてた
ぐらいなのだ。


ユキノジョウが 隣を見ると
ユリヤも、ユキノジョウを
見ていて、視線が合った。

とくに、お互い
何かを 言うわけでもないし、
もう、気まずくもなかった。

「ハジメさんの 非常識さは、
たまに、びっくりするけど、
基本、真面目な 男だよ。
まあ、『ぼんぼん』だからね、
モンスターVIPが 出たりある」

副女が 助手席から
ユキノジョウに 振り返って、
笑っている。

ハジメに出会ったボランティアの
チームで、その『ぼんぼん』さに
助けられ、
『モンスターVIP』に、
迷惑こうむった事から、
仲良くなったと 馴れ初めを
話す 副女。

大人になってからの、
男友達は 珍しいと。


ユキノジョウ達は
最後に 海に行く事にして、

島の南側にあるという、
『神ノ子浜』に 車を走らせる。

副女曰く、
里山がある 原風景の 島の北側と
違って、
島の南側は
白砂の 乾いた 海岸に、
オリーブが
ある山が
青い海まで迫って
まるで 地中海リゾート気分が
味わえると言う。

実際 リゾート浜化したが、
撤退して、施設が そのまま
残った 状況だとも 。

この旅に来て、
ユキノジョウは
いつもより ユリヤと居ている
はずが、
意外に 別行動が 多かったから、
漸く、
一緒に いる狭い車の
今、
とくに どこに行くでも 良く
全く 気にならない。

それでも、
昨日から いるこの島で、
今走る道の 様子は、
見たことがない。

あまりに
うっそうとした、
背の 高い草が 密集するように
両側を 囲う道。

不安になる。

軽自動車を 運転しながら
ユキノジョウの母親が 話す。

「それでも、全国をギャラリーで
移動するってー、どんな人って
感じだわ。名刺もらっとけば
良かったかも!しまったわ!」

と、少し車がバウンドした。

「ねぇ、、 道あってる?」

隣のユリヤの顔を 見ていた
ユキノジョウが
たまらなくなったのか
前の 大人達に 確認する。

いつの間にか
アスファルトが なくなって、
車を走らせているわけで。

「大丈夫だよ、だいぶ前だけど
来た事 あるし。でも、
まだ
リゾートの経営をしてた時
だから、
まだ、拓けてた感じなんだけど」

副女も、どこまでも
続く 草の伸びた道に、
自信が 揺らぎそう なのか、
車窓の風景に、苦笑だ。

「え?!なに!それー?
リゾートって、元リゾートって
こと?もしかして
向かうのって 廃墟の浜ー?」

電話を 地図案内機能に して、
ハンズフリーにセットをしている

ユキノジョウの母親は、チラリと
横目で
その 地図を 確認しつつ 嘆く。

「ごめんなさい。そうなるの
かもね。でも、海はキレイよ。
あ、
海に続く 桟橋も 残ってると
思うし、ほら 人少ないのも
ディスタンスってことでね。」

そろそろ、見えるんじゃ
ないかなー?と副女が
前を 指さして 言う。

さすがに 延々と
山道 みたいな 風景で、
前も 後ろも おんなじ 見えかた。

「えー?!海への道!
なんか いー感じじゃん!
オレ、全然いいよ 、その海!」

ガタガタと、
車体が 揺れるような 道。
本当に 道 あってる?
と、母親が呆れるが、
ユキノジョウは ユリヤに、

「あのさ、
ユリにっ、わたしたいの ある
から、海ついたら もらってよ」

そう 言うと、
ユリヤが、目を細めて
頷く。

ユリヤの家は、
父親が 単身赴任で
1年で 何回かしか、会えない。

誕生日と、お盆、クリスマスと、
年の瀬。

その時は 必ずプレゼントと、
お土産を ユリヤに
渡してくれると、前に
言っていたのを、

ユキノジョウは、思い出して、
次に 言う言葉を 口にしようと
して、

前方に、何か 看板が
見えたのか、前の2人に
遮られた。

「良かった!?案内でてきた!?
かな?」

副女が、目を細めて確認している

何か違うかも?とか いいつつも、

「 ユキノジョウ!生意気な事
言っちゃってー。
すっかり、男の子って感じじゃ
ない ?やだぁ、子どもの成長っ
て、早くないー?って、」

ユキノジョウの母親はからかう。

様子が 違う事に 気がつき
1度 軽自動車を、
止めて、看板を 見る。

「ねぇ、副女さん、
これ 道、
間違ってる? もしかして?」

┏一一一一一一一一一一一一一┓
┃この先は 立ち入り禁止┃ ┃事前に 見学は 以下に連絡を┃
┗一一一一一一一一一一一一一┛

副女と、ユキノジョウの母親は
道が 二股に別れていた、反対側 に
行けば良かったと
愚痴り、

Uターンして アクセルを
踏み込んだ。
ほどなく、ユキノジョウの母親が
副女に 聞いてくる。

「ねぇ、さっきの場所って、
奥に 行くと、
産廃事件の場所になるー?? 」


その問いかけに、
副女は 助手席から 答える。

「察しの通りよ。
今から 向かう『神ノ子浜』と
産廃の場所っ、ほんと近くって
その気になれば見えるぐらい。」

ユキノジョウは
よくわからないという、顔で

「副女さん、サンパイって何?」

聞いたのは、
ユリヤも あまり分かっていないと
察したからだ。

「あ、そうだね。ごめんよ。
産廃は、産業廃棄物で、ゴミ。
なんだけど、普通の家からでる
ゴミじゃなくて、会社・工場・
お店からでる 決まったゴミね」

軽自動車は、
道を戻って、二股に別れた
分岐点に ついた。
よくみれば、
うっそうとした 草の間に、
浜への道を示す
看板が ユキノジョウからみえた。

「日本ってね、世界でゴミの量が
1番に 多い国なんだよ。
こんなに、狭い島国なのに。」

ユキノジョウと ユリヤは
副女の言葉に、軽く驚いている。

「テレビで 日本って外国の人が
道にゴミが おちてないって、
びっくりするんじゃないの?」

そう ユキノジョウが 疑問を言う。

「そうだね。ゴミへの意識が 高い
から、街の道は 皆の意識で
キレイなんだろうね。
で、それでね、家のゴミは
市町村で 処理するのね。
でも、
産廃は別で、事業者が処理する。
ゴミの受け口が 別なのよ。」

ゴミの行方なんて、考えた事が
ない、子供達は ピンと
きていない。
そして、目の前の
伸びた草が 途切れて
建物が 幾つか見えた後

浜辺が見えて来た から、
気持ちも そぞろ になってしまう。

「まあ、そんな訳で 産廃が、ここ
から見えるぐらい近くに、
違法に、持ち込まれたのよ。

『神ノ子浜』はね、天皇一族に
纏わるの伝説 とか、
縄文弥生時代の 遺跡が
ある様な 島を代表するぐらいの
浜辺なのにね。あぁ、これは」

そう言って
軽自動車が 到着した場所は、
確かに
無人になった 白い リゾート浜だ。

真っ青な海に 向かって 何処までも
伸びて いそうな、
白い 桟橋も 廃墟さを
どこか 物語っている。

「ここって、」

まるで、無人島に
流された
気持ちに ユキノジョウは なって。


「つわもの共が 夢の後って浜ね」

副女が 囁いた。