『ウオオオオトッッーー!!!


青い空と
青い海の境目が
なくなったみたいな、道に

唯一
真っ白に
光るガードレールが

ユキノジョウに
ぐんと 大きく曲がるカーブを

知らせてくれる!!

電動のリミッターは
ゴーーーーって 開きっぱなしだ

ただの車輪になった
自転車で、

何んにも さえぎるモノがない
坂道を、

サルみたいに 笑
叫びながら

ユキノジョウは ノーブレーキで
爆下りる!!

サイコー↗️↗️↗️
サイコー↗️↗️↗️
サイコー↗️↗️↗️

このまま、青い海に
つっこむみたいな 道だぞー。

なんだ!ここ!
とんでもねー、道だなっ!!
とんでもねー、
とんでもねー、

あはは!
ハイパーテンション!

頭が さえるような
空気を 切って
ドンドン 走る
電動自転車のユキノジョウを

ユリヤが
ブレーキをかけながら
やっぱり 電動自転車で
追いかけ下りてきている、

背中に、気配を
ちゃんと、感じる。

ゴーーーーっと
下りる途中、
下に、穴が空いた
白いコンクリートのドーム
2つ。見えた!

そこ めがけて、
何も 考えないで
真っ白に
2人で つっこむ!


あれが、『島のキッチン』で
聞いた アートだ!!

『キキーッ』

駐車場の平地で
大きく ハンドルを切って
ブレーキ。

ユキノジョウは、
後ろからくる、ユリヤの姿を
ハンドルに方
ひじをついて
ニマニマと 待つ。





『あんたら、檸檬のホテルで
ボランティアか?ちんまいのに、
えらいなあ。ほれ、食べな。』

そういって、おばあちゃんは
メロン みたいな うりを
ユキノジョウと、ユリヤに
差し出してくれた。

『まくわうり。知らんか?』

知らない。
切ってる 見た目は メロン?
でも、うり?
うりは、生で 食べたことない。
きゅうりか?

タッパーの それを、
消毒した 手で つまんで
口にする。

「あ、あんまり、甘くない。」

となりで、ユリヤが
口を 押さえた。
思った味じゃない時の しぐさだ。

ついでに 言うと、
ユリヤは 余り甘ったるいのは
苦手な 女子。

「おー。ばあちゃん、さっぱり
した メロンみたいだぞ!」

ユキノジョウは、2個目に
手を のばしている。
メロンより、
しっかりしてる 食べごたえだな。

おばあちゃんは、ニコニコして、
ユキノジョウ達を 見ている。
子どもってのは、
得だなーって 思うよ。ほんと。

そんな風に してたら、
島の キッチンの人が 予約してた
お弁当を 持って来てくれた。
副女さんは、
ネマワシの天才だな!

「ユリ、オレらは ここで 食べて
から、レモンに持っていこーぜ」

ユキノジョウは、
もらった お弁当の1つを、
ユリヤにわたす。

「ごちそうさまでした。
ありがとうございます」

おばあちゃんに、ユリヤが お礼を
言って 頭を下げた。

「これから、お昼ごはん 食べる
の?おばあちゃん達。」

ユキノジョウが、聞くと

「もう、食べたんよ。このあと、
誕生日会が ここであるよって、
待ってる。あんたらも、出る?」

おばあちゃんは、わざわざ
さそってくれた。
あー、入り口に なんか
誕生日会ある よって、書いてたな

「ありがとう!でも、いいや。
食べたら、アートとか
見に行くし。あ、近くに なんか
あるんなら、教えてー。」

それで、おばあちゃんは
持ってた チラシのうらに、地図を
えんぴつで 書いてくれた。

島の キッチンは、
南国の家と、昔の家を
合わせた ような ところで、
風が 通って気持ちよかった。

あと、誕生日会の おりがみの
飾りつけが カラフルで 楽しい。
島で 野菜を 作った人とか
黒板に ある。

ユキノジョウは、
ユリヤと 島のキッチンで、
お弁当を 先に食べてから、

レモンのホテルで 受付の
ボランティアを している、母親と
アコに お弁当を とどけて、

教えて もらった場所に、
電動自転車を、
すっ飛ばして 来たのだ。

お誕生日会の時は、
少し アートの見学が すくって、
聞いた。




「ユリ、誕生日会出たかった?」

ようやく、追い付いて
顔を 赤くしてる
ユリヤに ユキノジョウが聞く。

全力で オレに、
着いてきたんだよなー。
とも 思う。

「ユキの誕生月じゃないよ。」

ユリヤが、ユキノジョウの隣に、
電動自転車を 止めて
笑顔で、言うから、

なぜか 満足になって 短く

「そっか。」と、答えて、

白いドームに 2人で 歩く。