ユキノジョウ達は、朝
次の島に行く 船に乗っている。

最初に乗った 大きな船とは
全然ちがって、
中くらいの船は 波の上を
バイクみたいに シブキを上げて

気持ちよく 走る。

「普段は、ホテルからの 船を
チャーターしないと 次の島には
行けないんだけど、今は ほら
芸術祭期間だから、臨時で船が
土庄港から 出てるんよ。」

副女さんが、サンドイッチを口に
ユキノジョウの母親に 話してる。

「だからって、こんな早くに船
乗るなんて、さすがに 朝ごはん
食べれなかったねー。」

まだ、化粧が出来てない母親は、
大急ぎで、『顔をつくって』る。

大きな船とちがって、白いアワに
なった波が、船の後ろから
オビみたいに 出来て、消えてく。

あんまり、それを 見てると、
気持ち悪くなった。
フナヨイする らしい。

「ユリ、ヨッてないか?」

となりに座る ユリヤに
ユキノジョウは、声をかける。
アコは いつもとおんなじで、
船を 飛び回ってる。

「いける。ユキ、しんどそう。」

へーき、へーき、と言っとく。
単に 今日も寝たりない。だけ。
たまに、波が 風にのって、
ユキノジョウのほほが ぬれた。

保健の授業でやった、
2次成長期ってやつを たまに思う。

「昨日泊まったゲストハウス!
すごく、お洒落で、景色良かった
ねー。あそこなら、人数増えても
大丈夫って、確かにだよねー。」

化粧が 終わったんだろう、
ユキノジョウの母親が 副女さんと
サンドイッチをつまんでる。

このサンドイッチは、
昨日のスペイン料理のお店で、
副女さんが、朝用に 持ち帰りを
お願いしてた やつだ。

昨日、
暗くなった道を行くと、
海沿いの ホテルが 並ぶ
バス亭から 坂道を歩いて、
ゲストハウスに なんとか 着いた。

ゲストハウスの となりが
ハムの工房で、
その おとなりが スペイン料理店。

ゲストハウスは、
副女さんが 言ってたけど、
最近多い、パスワードを入れて
鍵を開ける みたいな 宿だ。

坂がすごくて、
ユキノジョウ達は 疲れたけど、
ゲストハウスは、
すっげー キレイで
大きな窓から見える
景色は、海とか港とか みえて、
ゼッケー だった。

「やっぱり、芸術祭の影響だろう
ね。 島に カフェとか、
ゲストハウスが、多くなったよ」

外国のドラマにでてくる みたいな
キッチンとか、部屋で
でっかい お風呂からは
外が見える。

朝、
見える景色を、
副女さんが 『エンジェルロード』
天使の散歩道だって、
教えてくれた。

「あんなに、お洒落なキッチン
せっかくだから 料理したかった
なーんてねー。」

「ママ、いっつも テキトーに
お料理するもんねー。」

アコが、母親に 笑ってつっこむ。


もともと、ユリヤ達だけで
泊まる予定だったせいか、
ベッドの用意は 2人分だったけど
大人達が、夏だし、広いソファー
使ってねることにした。

すごく、広いベッドを 子どもが
使うって、アコを真ん中に
オレもユリヤも 同じベッドだった

あれが、ダメだったなあー。
親達は どーゆーつもりだよ?!
まあ、子どもってこと だろうけど


『ユキノジョウ!おまえ、まだ
男じゃないよなー!!』

キレイな天井を ベッドから見ると
昼間、カイトに言われたのを
思い出した。

なんか、ムカつく。
寝返りをうつ。
アコの頭ごしに、ユリヤの横顔。

全くケイカイ してない。
はあーって、ため息がでる。
気分ワル。

反対に寝返る。

『大丈夫!すぐだろ。なんでか?
わかるって、おまえ 見てっ
と。そーゆーもんなんだよな。』

カイトが言うことを まとめると
体が先か、気持ちが先かは
わからないけど、ちゃんと 2つは
同時に 成長期らしい。

だから、オレの行動をみてると
わかるっんだとっ。
そんなもんか?

それじゃあ、まるで、
そーゆー風に プログラムされてる 気持ちみたいで、
イヤだな。

失せろ!!2次成長期!
背ぇー低いのんは なしだけどな!


わっーー!!
『ニャーニャー、ニャー、』

船が カモメ?の大群の横を走る。

『ニャーニャーニャー』

「ユキくん!!頭!」

ユリヤがさけんだけど、
『ガッ!!』

ユキノジョウは、自分の頭を
カモメ?につかまれ 頭の皮が

ムケタ、、、。

「ウソだろ。あだーっっっ!!」

その後、母親達にユキノジョウは
ムケタ ところに
消毒液を ぶっかけられて
船で 頭を シュワシュワさせて
涙目になった。

島、見えた。
寝不足なんだよ、、、。