『本当ですか?このパソコンがそうですか?』
「そうよ。試しに日本語を入力してみましょう?」

私はノートパソコンを開いて電源をいれてみた。最新型のパソコンでデスクトップに見た事のないアプリがある。これがそうなのか?

「このアプリをクリックしてみて」

私は言われた通りにアプリを立ち上げる。私にそっくりな女性がこっちを向いていた。
「この人間はコンピューターが今野さんの顔を認識して読み取っているのよ」
林さんの声は弾んでいる。

「試しに何か入力してみて?」
私は言われた通りに『こんにちは』とキーボードを打った。するとパソコンの画面にいた女性が綺麗な声で
「こんにちは」と言った。口もその通り動いている。凄い!

『林さん、これ、林さんが考えたのですか?』と入力をする。画面の女性がその通り喋った。

「そうよ。今迄も似たものはあったのだけどね。ここまで凄いのは最新。どう?使ってみた感想は」
『凄いです。もうびっくり』
「このままインターネットに繋げば、何処に居ても誰とでも会話出来るわ」

『何処でも?』
「そうよ。勿論、私がこのアプリを使えば、パソコンの中の人間どうしが会話をすることになるわ。これからはパソコンで会話しましょう。今野さんの入力の速さならばっちりよ」

すると、私と林さんとのやりとりを見ていた榎本さんが驚いて
「もしかして、今、今野さんが喋ったの?」と訊いてきた。