「リーダーのせいじゃない?頭にきちゃう。早く、工場辞められたらいいね」
「私も早く辞めたい」
私は自分の涙が膝の上に落ちたのが分かった。それをジッと見ていた武田さんも悲しそうな顔になってきた。折角家に来て貰ったのに……。

「気にしないで。ねっ」
「うん。ゴメンね。もうこの話は止めにしようよ。それよりパソコンやろう」
「そうだね。忘れよう。今日はもうこの話は止めね」
「武田さんに気を使わせちゃったね」
「いいよいいよ。それにしても今野さんの今の仕事の意欲は凄いね」

そうして遅くまでインターネットで遊んだ。武田さんは泊っていってくれた。

私は声が出なくなる原因は武田さんの言う通り精神的なものからだと思っていた。何故なら声が出なくなるのは土日だけの事だったからである。なので工場を辞めれば治ると思っていた。

私は早く工場が辞めたくて上司に退職願いの様な簡単な手紙を渡そうと思った。喋る事が出来ないからである。
『一身上の都合で申し訳ないのですが私は体調不良のが続いてしまっている為、今月迄で仕事を辞めさせて貰いたいので宜しくお願い致します』
こんな内容の手紙を書いた。すると、その手紙は目の前で破り捨てられた。ここまでくるとパワハラである。