私は毎朝、嘘をついて休んでしまおうか、仮病を使おうかと思いながら工場へ行く。そんな状態で工場に着くと、上司に何時ものようにチクりと嫌味を言われる。

「遅いわね。今日も遅刻ギリギリ。出社も仕事ももうちょっと早くで出来ない?」

出来ないから困っているのである。何かコツがあるのかな。私はあれこれ考えながらも仕事を始めようと狭い席に置いてある大きな拡大鏡の前に座る。検査をする人の席は縦横にズラッと並べられていて、50席位はあるだろう。8時30分から5時30分までの間休憩を挟むが、そこで黙々と仕事をしなければならないのだ。それでも座り仕事なのが唯一救われるところかもしれない。だが休んでいる暇など無い。作業台の横には今日検査しなくてはいけない部品が何段にも積み重ねられているのである。

今日中にこれを終わらせなくては…。