中古車屋さんでの初めての仕事の日が来た。私は緊張して早起きをしてしまった。昼間眠くならない様にコーヒーを飲む。朝起きて1杯。出掛ける前にもう1杯飲んだ。9時から仕事と聞いていたので私は8時30分位に事務所に着くようにした。いきおい良く自転車を漕ぎ出す。アルバイトらしい男性に案内された事務所は店舗の中にあって、中には机が6つ置かれていた。全部の机の上にパソコンが置いてある。

「今野さん、お早う御座います。早いですね。こんなに早く来なくても、遅刻ギリギリで良いのですよ」

先に来ていた榎本さんが立ちあがって挨拶をしてくれた。
「はい。初めてなので分からなくて」
「今野さんにはこの席を用意しておきました」
そう言って榎本さんが右端にある席を指さした。

「今日の午前中は従業員の紹介と、これからの仕事の説明をしますね。どうぞかけて下さい。お昼はどうします?コンビ二も近くにあるけれど……」
「今日は買ってきました」
皆がどうしているか解らなっかったので朝、用意してきたのだ。

「そうですか。準備万端ですね」
榎本さんはニッコリとほほ笑んだ。やっぱりいい人の様だ。

時刻も9時に近づくと数人の人が事務所にやってきた。一人一人に挨拶をする。面接の時にいた女の人もいた。30代位に思われる。
「はじめまして今野です」
「林です。宜しくね。何か解らない事があったら聞いてね」
林さんも優しそうだ。