それから2週間はあっと言う間に過ぎて行った。今日が平日の仕事の最終日である。武田さんは平日だけ仕事をしているので、お昼を一緒に食べるのは今日が最後だ。その日は武田さんが少し寂しそうに見えた。

「明日から一人でお昼を食べるのかー」
「また新しい子が入ってくるんじゃないかな。募集するって言っていたよ」
「この工場入れ替わりが激しいものね」
「そうだね。早く来てくれないと私、この先ずっと休み無しで仕事をしなくてはいけなくなるもの」

「それは辛いね」
「武田さんは平日仕事頑張ってね」
「うん。今野さんも新しい仕事頑張ってね」
「あっ、病院で喉見て貰った方がいいよ」
「確かに」
そうだ。たまに声が出なくなる事を病院で診て貰わないと新しい会社で電話の応対が出来ない。私は家に帰るとスマートフォンで近所の病院を検索した。すると近くに遅くまでやっている耳鼻咽喉科を見つけた。私は次の日仕事を早退させて貰い、早速そこへ行ってみた。

病院は混んでいて、私は2時間位待たされた。医師に症状を言う。

一通り検査が終わったが、私の喉には何の問題も見つからなかった。
「多分風邪でもひいていたのでしょう」
「そうですか。でも喉以外風邪の症状が無かったものですから、気になって」
「今はきちんと声がでていますね」
「はい。たまに喋れなくなるんです」
「気になるようでしたら紹介状を書きますので大きな病院で検査して貰いますか?」
ダメだ。仕事を休むなんて出来ない。
「いいえ。また声が出なくなったら考えてみます」
「一応風邪薬をだしておきますね」
私は腑に落ちなかったが病院を出た。

風邪薬で治ればいいが……。