杏へ

杏がなかなか実家へ帰って来ないので手紙を書きました。

手紙なんて書かないから、文章が下手で御免なさいね。
季節は梅雨に入りましたね。
雨の中見知らね都会で自転車に乗って忙しくしている杏の姿を想像すると切なくなります。

杏が遠くで住むようになってから、もう4年になるかしら。
毎日杏の事を考えています。
元気にやっていますか?
お母さんはスーパーでのパートを頑張っていますよ。
お父さんも毎日畑仕事を頑張っているわ。

来月は杏の誕生日ね。
少し早いけれど誕生日おめでとう。
それでね、お母さん思うのだけれど、杏は一人っ子なんだから、そろそろ実家に帰ってきて落ち着く事も考えてくれないかしら。
勿論、無理にとは言わないわ。
そっちに決まった人や好きな人がいるのなら構わないのですよ。
でもきちんと私やお父さんに相談してね。
杏は自分の事あまり話さない子だから心配なの。
それに杏は良い子でしょ。
都会では人に騙されたりとか怖い事もあると思うわ。

毎晩、夜眠れなくて色々想像してしまうの。
たまには連絡ほしいわ。朝でも夜中でも何時でも待っていますからね。

  母より