土日は工場が休みである。休日は大好きなので大事にしたいが、一人暮らしなので家の事をやっていると休みは早く過ぎてしまう。直ぐに次の週、月曜日が来た。私は工場にいつも通りギリギリに出勤する。すると私の席が一番端になっていた。

「今野さんは仕事が遅いから、ずっと見張っていられるように端の席にしたの」
上司が持っているボールペンで作業台を叩く。私は悔しくて泣いてしまいそうになったが、こんな屈辱も中古車屋さんが採用になればサヨナラである。

「そうですか」
「ほら早く作業を進めて」
「はい。解りま……」
また声が出ない。

仕方がないので私は検査に没頭した。集中すると時間は早く過ぎるものである。気がつくとお昼になっていた。

「面接行ってきたの？どうだった？」
今日も武田さんと話をする。
「うーん。解らないな。私、経験無いし」
「でも、誰でもどんな仕事でも最初は未経験なんだよ」
「それもそうだね」
確かに武田さんの言う通りだ。中古車屋さんが落ちても、また事務の仕事を見つけてみよう。私は少し心が軽くなった。