私はその日急いでマンションに帰ると、履歴書と職務経歴書を書く。だが、ああ、どうしよう。転職を積み重ねて来たので職業欄が一杯になってしまった。こんな事では長続きしないダメな子だって思われてしまう……。だが嘘を書くわけにもいかない。私は仕方なく7社もの会社名を正直に書いていった。

金曜日は直ぐにやってきた。工場には面接で休むとは言わず体調不良と嘘をついた。罪悪感に苛まれるが仕方ない。背に腹は変えられないのだ。

私はお昼を食べてからリクルートスーツに着替えると、薄いピンク色のリップグロスを塗った。国道沿いの中古車屋さん迄は自転車で20分の距離だ。少し早めに出て近くのカェで時間を潰そう。私は梅雨の季節の始まり、どんよりと曇った空の下、レインコートを自転車の籠に入れてマンションを出た。

途中休んだカフェで私はアイスコーヒーを飲んだ。濃いめのアイスコーヒーは苦くて大人の味がした。24歳なのにまだまだ私は子供なのかなと思う。何分か経つとだんだんと緊張が増してくる。面接でどんな事を聞かれるのだろう。以前の面接の経験では、何故この会社を選んだのか。とか、自分の長所や短所も聞かれた。色々聞かれる事を想定して考えておかねばならない。それに声がきちんと出るかどうかも心配だ。そう考えていると時間は直ぐに過ぎていった。