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人間の心の受け入れの許容量って砂時計の砂みたいな物になっているのだと思う。砂時計の入れ物は良い事が溜まる入れ物と悪い事が溜まる入れ物とが二つに分かれていて、砂はどちらかに溜まる事が出来る。溢れる迄は溜まる事が出来なくて、上を向いたり下を向いたりしているのではないか。その砂時計の砂の量は一定で、例えば悪い事の方に少し砂が溜まったら、良い方に少しの量が流れる事が出来る。悪い所の方に沢山砂が溜まったら、良い方に沢山の量が流れる事が出来る。そんな構造ではないかと思うのだ。そう考えるのは私の間違いなのか?

今日もまた私が働いている工場の上司に怒られた。何時も怒ってくる人は決まっている。私の直属の上司で職場のリーダーだ。年齢を聞いた事が無いので解らないが50代位であろうか、痩せていて茶色く染めた髪が目立つ女の人だ。何故、私が何時も怒られるかと言うと単純に仕事が遅いからである。悔しいが反論できる訳がない。私はこの工場に入社して半年以上も経っているのだ。単純作業なのでそろそろ出来てもいい仕事である。それなのに、つい最近働き始めたパートの女の子よりも仕事が遅いのだ。

私だって早く仕事がしたい。

現在行っている職種は車の部品の検査だ。最初は大きな部品だったのだが今受け持っているのは掌に乗るような小さなアルミニウム製の部品で、検査の前の鋳造の時に色々と不良が出てしまう。その為私達が一日に何百個と不良品の検査をしなくてはいけないのである。