「そういえば、カイさんの家族はどちらに住んでるんですか?」

「…………多分、屋敷にいる」

「屋敷って、あの……?」

「ああ。真由にはあまりいい話じゃないから言わなかったが……。俺が幼い頃、両親が今のように人間を世話していたんだ。しかしそれが地主にばれて、それだけなら良かったんだが……その人は犬が大の苦手でな。地主に向かって「こっちに来るな」と。地主の妖は犬で、それが原因で大激怒。その人間はどこかへ消え、俺の両親はそのまま屋敷に連れて行かれた。俺はその時からハトリのところに世話になった」

「……そんな、それなら私のことがバレたらカイさんも」

 そんなリスクを負ってまで私をここに留まらせる理由なんてない。

 せっかくのこの街の人に愛されるカフェを経営しているカイさんがもし捕えられてしまったら……。