裏の扉から外に出ると、畑が一面に広がっていて奥に日本家屋のようなものが建っていた。

 畑には見たことのない植物が植えられていて、ぼーっとそれを見ていると頭をこんと叩かれる。

「ほら、こっち」

「ごめんなさいっ」

「ぼーっとしてると食われちまうぞ」

「く、食われる?」

 この世界には、なにやら凶暴な生き物でもいるのかしら。そんなのに襲われたら、きっと私なんてすぐに捕まってしまう。

「冗談」

 カイさんは、悪戯っぽい笑顔を浮かべて私の目を見た。

「よかったあ」

「ったく、ほら、入んな」

 言われるままに、家の中へと足を運ぶ。

 それにしても初めて会ったというのに、こうして面倒を見てくれるなんて、なんて心優しい人なのだろう。

 不安だった心が、糸が解けるように少しずつ和らいでいく。