カイさんが割ったスイカを包丁で切り直して、大きな口を開けてがっつく。

「ううん、美味しいです」

 スイカのほんのりした甘さが夏の終わりの夜にはちょうどいい。

 蛍の儚い光を見ながら食べるひと時は、ノスタルジーだった。

「スイカももう終わりね。次は梨かしら」

「そうですね」

「秋は美味しいものがたくさんできる季節だねえ。さつまいもとか柿とか。楽しみだよ。カイのカフェでも美味しい料理たくさん出るから、真由ちゃんも楽しみにしてて。僕のおすすめは、栗ご飯かな」

「栗ご飯、美味しそうですっ」

 スイカを食べ終えて、ようやく花火の時間が訪れる。

 蝋燭に火を灯し、そこから花火の火をもらう。

 火がつくと音と共に光が舞い、それは赤や緑と様々に変化していく。

「打ち上げ花火もいいけど、手持ちもいいよな」

「そうですね」