「いらっしゃいませ」

「ううん、良い香り。ハーブティーの匂いがするわね」

「そうだね」

 カップルらしき2人組がカフェに訪れる。なんだか仲の良さそうな雰囲気が流れていて、こちらまでほっこりとしてしまう。

「すみません、おすすめのハーブティーってありますか?」

「おすすめですか。酸味があるものがいいとか、甘いのがいいとか、何か好みはありますか?」

「私はお肌にいいのが良いわ」

「じゃあ、僕も一緒のもので」

「そうですね、それでしたらローズヒップティーにいたしましょう」

 カイさんは、いつものように多種類あるハーブの中から迷うことなく1つを選んで淹れていく。

 すると、濃いピンク色に透明の水が染まっていき、宝石のルビーのような輝きを放つ。

 ハーブを淹れている間に、小さなお皿に金色の蜜を用意する。

「それはなんですか?」

「蜂蜜だよ。ローズヒップは酸味が強いから、蜂蜜を混ぜて飲むと美味しくなるんだ。でも、その酸味が好きな人もいるし、入れる入れないはお客様に任せるのさ」

「そうなんですね」

 ハーブに蜂蜜……。まだ飲んだことのないその味を想像すると、飲みたくて仕方が無くなってくる。

「じゃあ、これお客様のことろに」

「はいっ」