森を抜けると、街が見えて来た。

 街を歩く人たちを見ると、やっぱり頭に動物の耳のようなものがあり、つい凝視してしまう。

 そういえば、妖がなんとかって言っていたような……。

 とすると、あの人たちもこの人も人間ではないということで、本当に私はどこに来てしまったのだろう。

 こんな世界があることを、もちろん今まで全く知らなかった。

 あ、でも……お爺ちゃんが昔言っていた違う世界って……ということはお婆ちゃんもここに……?

「もう少し、手握らせてもらうね」

「あ、はい」

「そういえば、名前、なんて言うの?」

「堺真由です」

「真由ちゃんね。僕はハトリ」

「ハトリ、さん」

 ハトリさんは、柔らかく笑うのが特徴なのかな。

 美しい顔にその柔らかい表情がプラスされて、余計に輝いて見えてしまう。

 妖艶というか、初めて会うタイプの人だから緊張してしまって心臓が早く動く。