「いらっしゃいませ、あら、あなたあそこのカフェの」

「ケーク・サレ、買いに来ちゃいました」

 とりあえず、今日は一旦考えることを止めてこのスイーツを楽しもう。

 それからでもきっと遅くはないはず。

 ていうか、ここって絶対スミレさんと来たお菓子屋さんで、まさかここだったとは。

 この前買ったものはどれも美味しくて、あんなに美味しいものを作るのことができるなんて、お菓子作りを学びたいくらい。

「わざわざありがとうね、来てくれて。あ、そうだ。ちょっと待って、クッキー生地の切れ端の部分があって、それあげるわ」

「いいんですか?」

「いいのよ、どうせ売れないものだし。でも、味は変わらないから大丈夫」

「ありがとうございますっ」

 こんなに素敵なお店の人だったなんて、私の周りには尊敬すべき人ばかりがいる。

 だからこそ、ちゃんと知りたい、この世界の事実を。