「カイさんはどうしてカフェをやろうと思ったんですか?」

 夜のほっとする時間に、カイさんはディナーを食べていて私はハーブティーを飲む。

「ハーブティーって、それぞれの効能がすごいんだ。だから、それを人に伝えないのは勿体ないと考えた。それで、まあ料理も好きだったし、カフェをやろうと思ったんだよ」

「いいですね」

「真由はなんか好きなことあるのか?」

「好きなこと、ですか……」

 歌が好きで中学では合唱部に入っていたけれど、将来を考えるというほどかと考えるとそうでもない。

 そもそも、そんなに歌が上手と言うわけでもないし……。

 考えれば、私にはまだ、これ、といったものがない。

 夏休み明けの3者面談でも、理系か文系かを決めなければならないのにまだそれすら迷っているし……。

 私も、カイさんみたいにこれといったものを早く探したい。

 自分のしたいことを見つけたい。

「どうした?」

「いえ、私にはまだカイさんのように誇れるものや好きなものがないなあと」

「そうだな……。それならとりあえずここにいる間はハーブについて学べばいいさ。きっと何かの役には立つ」

「はいっ、そうですね」

 カモミールティーを飲むと、ほっと心が落ち着いて夜の睡眠前にはちょうどいい。カイさんの言う通り、とりあえずはハーブのことについてちゃんと勉強していこう。