「はあ、何か頭がすっきりとするハーブティー淹れてくれるかしら?」

 はあ、とため息をつきながらお客様がカウンター席に座る。とても疲れているのか、なんだか眠たそうな目をしている。

「かしこまりました。……真由、ミント取ってくれ」

「はいっ」

 ミント、確かに香りが結構強くてすっきりするのにはちょうど良い。

 人の気分に合わせてハーブティーを淹れることが出来るカイさんをここ数日ずっと見ているけれど、本当に心の底から尊敬する。

 私も何か、人の役に立つ知識を身に着けたい。

「どうぞ、ミントティーです」

「ありがとう」

 ミントの香りがこちらまで来る。その香りだけで、いい気分になる。

「うん、いいわね。少し香りの強いくらいがちょうどいいわ」

「何か、ありましたか?」

「そんなに大したことじゃないんだけれど、新しいお菓子のアイディアが思い浮かばなくてここ数日悩んでいたの。それで一度頭をリセットさせようかと思って」

「そうでしたか。新しいことを考えるのは難しいですけど、ぱっと思い浮かんだ時のあの感覚は何物にも代え難いですよね」

「そう、そうなのよ。だから考えることは止めたくないの」

「分かります」

「なんだか、話していたらいいものが作れそうな気がしてきたわ」

「できたらぜひ教えてください」

「ええ」