花火を見ると、何故だか夏の終わりという感じがするのはどうしてだろう。桜の花が散る時にちらちらと花びら舞うように、花火の光が夜の空に消えていくからかな。

 桜みたいに儚くはないけれど、美しさと同時になんだか少しだけ寂しい気持ちが存在する。

 だけどそれは悲しさじゃない。懐かしいという感じ。

「ほい。飲み物」

「ありがとうございます」

 頬に冷たいものが当たる。

「いいな、花火」

 消えては光り、消えては光り、を繰り返す。

「真由、手持ちの花火もやりたくない?」

「はいっ、やりたいです」

「今度やろうぜ。夏が終わる前に」

「はいっ、ぜひ」

 こうやって下から眺める花火も好きだけれど、手に持って小さな花を眺めるのもまた違った良さがある。

 特に線香花火が私は好き。

 小さくパチパチと光を放って、それをじいっと見つめる。

 儚い光が心をキュンとさせる。

 蕾が落ちる瞬間、息を潜めてしまうの。あ、落ちちゃうって思いながら。

「真由ちゃん、夏祭りはどうだった?」

「楽しかったです」

「うん、よかったよかった」
 
 最後に、大きな大きな花火が上がって夏祭りは終わりを迎えた。