3人でフルーツ飴の売っている出店に行こうとした時、「真由ちゃんちょっとこっち」とハトリさんに腕を引かれて後ろに隠される。

 ちらっと見ると、厳格な雰囲気の3人組の男の人が歩いていて、直感でその人たちがどこに住んでいる人たちなのかが分かった。

「ごめんね、真由ちゃん。急に」

「いえ……」

 その人たちが通り過ぎると、ハトリさんは曇った表情をすぐにいつもの穏やかな表情へと戻す。

「あの人たち、神経質だから」

「そうなんですね」

「うん」

「あいつらな。人間に虐められた動物の妖だからなあ。性格があんまりよくないんだよ」

 それって、前にハトリさんが言っていた人たち。

 だから、あの建物には近づかない方がいいって、そういうことだったんだ。

 と、その時後ろにただならぬ圧力を感じる。

「お主ら、今『人間』と言わなかったか?」

 振り向くと、さっきすれ違ったうちの1人が私の前にいる。

 ハトリさんはさっと私とその方の間に入り話を進めた。

「いえいえ、そんな大した話じゃないですよ。人間界にもこういう祭りがあったなあと」

「それだけか?」

「ええ、それだけです」

 ハトリさんは声色を変えずに話す。その声からは動揺などは一切感じない。いつも通りのハトリさん。

「嘘をついたらすぐにシドウ様がお前のもとに行くからな」

「はははっ。それはそれは」

 シドウ様……? 

「ふんっ」

 その方は一度私に鋭い視線を向けて、何も言わずに去っていった。