ヤクモさんも合流して再び3人で屋台を見て回る。

 定番の屋台の食べ物だけではなく、クッキーやゼリーやピザやキッシュと洋風なものまであって、どれを食べようかと迷ってしまう。

 それに、食べ物だけじゃなくて射的や型抜きもあって子どもたちの賑わしい声も聞こえてくる。

「真由何食べたい?」

「そうですね…………、まずはたこ焼きでしょうか」

「お、俺も食べたかった。たこ焼きってうまいよな」

「はいっ、特に夏祭りで食べるたこ焼きが美味しいんです。何故ですかね? 普段も食べられるのに」

「そうだな、やっぱり、特別だからだろうな」

 夏休みという非日常的な空間では、いつもの食べ物さえ何倍もその美味しさが増す。

 特別な日のいつもの食べ物。

「じゃあ、たこ焼き買おうか。3人で1パックの方がいいかな? 色々食べたいものあるだろうし」

「はいっ」

 ハトリさんは「一番美味しいのはあそこかな」と言いながら、進んでいく。その後を、ヤクモさんとお話をしながら歩く。

 ヤクモさんと話していると、まるで高校の友達と話をしているような感覚で、純粋に楽しい。

「あ、ここだよ。小さいたこがまるまる1つ入ってるんだ。2人はここで待ってて。すぐ買って来るから」

 ハトリさんの言う通り、すぐにハトリさんは戻ってきた。

 早速買ってきたそれを口に入れると、暑さが口の中で暴れて「あっ」と変な声が出てしまう。

「火傷しないようにな?」

 口の中が熱くて声を出せずに、首を縦に何度も振った。