「おお、いいね。水色がすごく似合ってるよ」

「ありがとうございます」

 夏祭り当日、ハトリさんはいつものように和服を着ていて、今日も当然麗しい姿だった。

 街の中を少し歩いていると、どんどんと人が多くなってきて、中には私と同じように浴衣を着ている人もいて、夏祭りの会場に近付いているんだなと思うと気分が上がってくる。

 いつもの街なのに、お祭りがあるとやっぱり特別な雰囲気が漂う。

「ここの生活には慣れた?」

「慣れたかどうかは分からないですけど、カイさんやハトリさん、スミレさんのおかげで楽しいです」

「ははっ、それはよかった」

 見えてくる景色がだんだんと変わってきた。

 提灯が見えてきて、遠くの方には屋台があって、まるでそれは私のいる世界の夏祭りそのもの。

 聞こえてくる音も、笛の音や太鼓の音で胸の高まる夏の夜の始まり。ああ、日本の夏だなって風情を感じる。

「何か食べたいものある? 焼きそばにたこ焼きに、後は苺あめとかもあるよ」

「そうですね、いろいろ食べたいですっ」

 屋台の通りを歩いていると、前から知っている顔の男の子が歩いてくる。

「おう、真由」

 会うのは2度目のはずなのに、なんてフランクに私の名前を呼ぶのだろう。

「ヤクモさん」

「ヤクモ、ここにいたのか。来ないかと思ったよ」

「来るよ。だって、真由も一緒だろ? 仲良くなりたいし」

「まあ、真由ちゃんも同年代の友達がいた方がいいだろうね」

「そうですねっ」