「目覚まし時計は使ったのかい?」

「はいっ、おかげさまで今日はカイさんと一緒に畑仕事を始めることができました」

「まあ、そんなに無理しなくてもいいんだけどな」

 ハトリさんとカイさんと3人で囲む朝食は、朝から賑やかで心が晴れ晴れとする。

 現実の世界でも、こうやって家族で朝食を囲んで食べるのが楽しみだったりした。

 カリッと焼けたトーストに苺ジャムを塗って、それと目玉焼きにサラダ、スープ。目玉焼きは、私の好みに合わせて半熟のものをいつも作ってくれる。

 時々それを何も塗っていないトーストの上に置いて一緒に食べるのが好きだった。

 お母さんの作る朝ごはんが懐かしくて、食べたくなってくる。

「そういえば、今週末にお祭りあるんだよねえ」

 お祭り、というワードは胸を膨らませる。

「ああ、そうだな」

「真由ちゃん、一緒に行く?」

「行きたいですっ」

 屋台とかそういうのがあったりするのかな?

 ここの街の風景には盆踊りや提灯も合う。

「まあ、ハトリとなら大丈夫か」

「カイさんは行かないんですか?」

「祭りの日は店も混むからな……。まあ、無理だろ」

 私だけがお祭りを楽しむなんて、それはなにか違う。

「それじゃあお手伝いを」

「それなら大丈夫だ。毎年スミレが来てくれるから」

「そうなんですね」

 スミレさんとカイさんが店員のカフェは、それだけで豪華な気がする。

 なんていうか、2人ともオーラが有り余っているというか、そこにいるだけで人々の気を引いてしまう何かがある。

「花火ならカフェからも見えるし、それまでは帰ってくればいいんじゃないかな? 花火の時間には店も確か閉まるはずだし」

「そうだな」

 花火もあるなんて、お祭りが待ち遠しくて仕方がない。