「戻りました」

「おう。じゃあ、とりあえずそこの洗い物頼む」

「任せてくださいっ」

 ハトリさんはお店には入らずに帰ってしまった。

 よしっ、まずはこのお皿たちを洗ってっと。

 お洒落な和風のお皿を割ってしまわないように、1つ1つ丁寧に磨いていく。

 ふとカイさんを見ると、和のデザートを作っている。透明のぷるんぷるんとしたゼリーのようなものに、黒蜜を掛ける。

 そのデザートは透明すぎて、ゼリーを通して向こうの景色まで見えた。

 なんていうか、儚いという言葉の似合うデザート。

 カイさんがそれをお客様のところまで持っていくと、「まあ、透き通っていて綺麗だわ」という声が聞こえてくる。

 一体、どんな味がしてどんな食感なのだろう。

 プリンのようにぷるぷる? それとも、意外と固め?

 初めて見る分想像が広がって余計に食べたくなってしまう。

「どうした? 手、止まってるぞ」

「あ、はい。あの、さっきのデザート美味しそうだなと思って」

 頭の中はそのことでいっぱいになる。

「ああ、じゃあ夕食に出してやるよ」

「嬉しいですっ」