「僕の弟、うるさいでしょ? まあ、悪い奴じゃないからさ。……カイの親戚ってことにしちゃったけど、とりあえずそういう設定でいこうか」

「はい、分かりました」

 雑貨屋に行く途中の道で、ふと横を見ると今まで気が付かなかったお屋敷のようなものが遠くの方に見えた。

 ものすごく広い敷地で建物がいくつも見えて、とんでもない偉い人が住んでいるとか、お金持ちが住んでいるとか、そういうところかな?

「ハトリさん、あちらは」

「ああ……あそこはまあ……なんていうか、少し神経質な人たちが住んでいるんだ。地主だよ。ある一族が住んでいるところさ」

「そうなんですね」

 どんな方たちが住んでいるのか、いつか会う機会があるのかな、なんて考えているとハトリさんは歩くのをやめた。