「真由ちゃん、今何か欲しいものとかある?」

「欲しいものですか……。あ、あの、目覚まし時計ってありますか?」

「ああ、うん、雑貨屋にあるね。食べたら買いに行こうか」

「はいっ」

 これでやっと、早起きすることができる。

「でも、カイが起こしてくれるんじゃない?」

「いえ、カイさんのお手伝いをしたいので、同じ時間に起きたいんです。それに、そんなにカイさんに頼ってばっかりは申し訳ないですし」

 ただでさえお世話になっている身なのだから、自分でできることは自分でやる。

「真由ちゃん偉いねえ。僕だったら100%頼っちゃうよ」

「ご迷惑、なるべくお掛けしたくないですから」

「そっか、それはいいことだね」

 カイさんもハトリさんも、それにスミレさんも、素晴らしい方々だからこそ、私もこっちの世界でなるべく自立して、もし出来るならば役に立ちたいと思う。

「デザート食べる? ていうか、食べてみて欲しい。すごく美味しいんだ」

 ハトリさんがそこまで絶賛するデザートって、一体どんなものなんだろう?

「じゃあ、ぜひ」

「うん」