「さあ、ほら、ついたよ。今はランチのことだけ考えて。ね? せっかくの美味しい料理も不味くなるよ」

「はいっ、そうですね」

 お店の扉を開けると、ハトリさんの言う通りハーブの独特な香りが漂ってきた。

 食欲を誘うその匂い。

 席に座ってレシピを見ると写真付きで、全てが美味しそうに見える。

「さあ、お肉っお肉っ」

 子供の様に目を輝かせながら言うハトリさんに、自然と笑みがこぼれてしまう。

 言葉の後ろには音符を感じて、私よりも大人なハトリさんに、可愛いなあと思ってしまった。
「あ、今更だけど、お肉だがだめなら大豆ミートもあるからね」

「大豆ミート?」

 聞き慣れないその言葉。

「うん、大豆で作られたお肉さ。まあ、大豆なんだけどね、味はお肉だよ。美味しいし、一度は食べて見るといいかもね。あ、ほら、こんな感じ」

 ページを捲るとそこに大豆ミート専門のページがあって、本当に見た目はお肉そのものだった。

「この大豆ミートのハンバーグなんて美味しいよ」

「じゃあ、それにします」

「うん、いい選択」