可愛らしい野菜たちを採っていると、遠くの方から足音が聞こえてきた。

 そちらの方を見ると、朝から美しいハトリさんの姿が見えてくる。私なんて起きたばかりで髪の毛もまだまだぼさぼさなのに、ハトリさんはすでに仕上がっている。

「2人ともおはよう」

「おはようございます」

「おう」

 カイさんは、ハトリさんに目もくれずに畑作業を淡々とこなしている。

 ハトリさんは怯むことなくカイさんに話しかける。

「僕も朝ご飯ご一緒していいかな?」

 ようやく手を止めてカイさんはハトリさんの顔を見た。

「いつも来てるだろ。昨日はたまたま来なかっただけで」

「まあね。ってことで、先に家の中お邪魔させてもらうね」

「へいへい」

 面倒臭そうに返事をするカイさんだけど、その口元にはなんとなく笑顔が浮かんでいるように見えた。