それから数日は少し休養をし、久々にカフェに立つ。

「やあ、真由さん」

「シドウさん」

 晴れやかな表情をしたシドウさんの姿は、以前とは別人のようにも見えた。

 心の重い重い鉛のような寂しさからようやく解放された。

「真由さんのおかげで、屋敷にも笑顔が咲くようになったんだ。僕もとても心が軽い。真由さんがこの世界に来てくれて、本当に感謝しているよ。ありがとう」

「いえ……元はと言えば人間が悪いんです。立場の弱い動物を虐めて……」

 言葉にするだけでも心が締め付けられる。

 人は、自分よりも弱いものを見つけて傷付けるという一面を持っていて、私もふとした瞬間にそちらの側に回ってしまうかもしれない。

「真由さん、ラベンダーティー淹れてくれるかな?」

「はいっ」

 シドウさんのホットココアのような温かみ溢れる表情に、目の奥が熱くなる。

「おはよう、真由ちゃん」

「スミレさんっ」

 久しぶりに会うスミレさんはやっぱり美しくて、私の憧れの存在。

「私にもラベンダーティーくれる?」

「ぜひ」