一通り野菜を収穫し終えた頃には、頭もスッキリと冴える。

 朝の新鮮な空気を肺に名一杯いれる。

 美味しい、不純物のない空気は。

「よし、そろそろ朝ご飯にするか」

「はいっ」

 籠一杯に取れた野菜は重くて、だけどこれを自分で収穫したことが嬉しくて、ここに来て初めて何も考えることなく自然と笑顔を浮かべることが出来た。

「お前は、なんか好きな野菜あるのか?」

「そうですね……、夏だったらトマトが好きです」

「なるほどな、じゃあトマトメインの朝ごはんにするか」

「はいっ」

 カイさんは手際良く料理をしていて、私の入る隙はない。無駄な作業が一切なくて、見惚れてしまう。

 その代わり、朝食ができるまでの間に簡単に部屋の掃除をすることに。

 とは言っても、ぱっと見て汚れた箇所はなく、カイさんの性格がこの家からもなんとなく分かるような気がした。

「おーい、出来たぞ」

「はいっ、今行きます」

 部屋に戻ると、さっきまでは何も無かったテーブルの上に、彩りの鮮やかな料理が並べられていた。

「朝だから簡単なものばかりだけど」

「どれも美味しそうです」

 採れたての生トマト、トマトとブロッコリーの炒め物、トマトソースのかかったオムレツ、和のカフェとは違って洋テイストの料理はまた違った良さがある。

「私、カイさんのカフェのお手伝いしたいです」

「うーん…………まあ、簡単なことならな」

「ありがとうございます」

 お礼を言うと、カイさんは不思議そうな顔を浮かべて私を見た。

「お前って、変なやつだな」