俺は、直接口には出したことはないものの、父さんの料理が好きで、朝昼夜の食事の時間が1日の中で1番楽しみだった。

 毎日、ハンバーグやオムライス、パスタにピザ、色とりどりの野菜も毎日違ったソースで楽しむことができ、飽きることなんてなかった。

 ある日、家に人間が来た。

 その人は幼い俺とハトリの面倒をいつも見てくれて、父さんがいつも入れてくれるホットミルクのように温かい人だった。

「本当に、美味しいですね。毎日食べていても飽きないです」

 知らない世界に来たその人は時折哀愁帯びた表情を見せたけど、父さんの料理を食べる時はいつも朗らかな顔を見せて、そんな料理を作ることの出来る父さんのことを密かに尊敬していた。