「んんっ」

 ここは……カイさんの家……。

「真由、痛くないか? 背中。これ飲んで少し休め」

「ありがとうございます」

 体を起こそうとすると、ずきんずきんと痛みが走った。

 でも、渡されたものを飲むと、さっきのものと同じかな、また痛みがすうっと消えていく。

「真由、俺がどうしてカフェをやっているのか知りたいか?」

 カイさんは、私の力のない手を握ってくれる。

「はい、ぜひ」

 あまり自分のことを話さないカイさんが初めてそのことについて口を開く。
 
 こんな時だからこそ、聞きたい。

「俺の両親は、洋食の小さなレストランを経営していたんだ」