「真由ちゃん、待って!」

「真由さんっ」

 皆の私を呼ぶ声が聞こえるけど、早くシドウさんのところに行くのがなによりも優先しなければならないこと。

 急ぎ過ぎているせいで、脚が絡まって途中で転びそうになる。

 せっかく痛みの治った背中がまた疼きだす。

 それでも行かないと。

 負の連鎖をこれ以上繋げてはいけないから。

「背中に乗って」

 キキョウさんがいつの間にか目の前にいて、大きな背中を私に向けている。

 その背中に触れると、温もりが伝わってくる。

 体重を、キキョウさんに預けた。

「しっかり捕まっててね」

「はいっ」