今日もカフェに立つ。

「はあ、最近食欲がなくて……。何かこういう時に良いハーブティーってない?」

「それなら、パジュベリーという実を潰して飲むものがあるんですが、どうでしょう?」

 ハーブティーって、茶葉じゃないものもあるんだ。

「じゃあ、それお願い」

 ブルーベリーのような黒色に近い青紫色の実を潰してお湯を入れて蒸らす。

 今までのものとは違って、お父さんが飲んでいるお酒のような匂い。

 植物、という感じじゃない。

「これはな、解毒作用もあるんだ。それに体を温めてくれる」

「なるほど……」

 また1つ、カイさんから知識を授かる。

 ハーブティーって、本当に奥が深くて今自分が頭の中に入っている知識はきっとほんの一部なんだろうなと思うと、楽しくなってくる。

 勉強自体はそんなに好きじゃないけど、ハーブのことを教わるのは苦じゃない。

 だいたい5分ほど蒸らしてからお客様に提供する。

「ううん、いい匂いね」

 お客様が飲む前にまずは香りを楽しむ姿、実はその姿を見るのが好きで、この香りを楽しむのがまずは醍醐味だと思うから。

 今回は初めての実のハーブティーだったからカイさんが淹れたけど、私もいろいろなものを淹れられるようになりたい。

 十数分後「ありがとう、今度は料理を食べに来たいわ」と満面の笑みを浮かべお客様は帰って行った。